本編
周りは私のことを環境活動家と揶揄するが、間違っている。
私は単に、地球に住む動物たちには平等に権利があると思っているだけだ。
人間が見世物小屋にいれば、誰だって文句を言う。
それなのに動物園に声をあげる人間はごくわずかだ。
だから私は多少、強引でも動物を解放するのが使命だと思っている。
これまでも5つの動物園の動物を解放してきた。
今度のターゲットは競馬場だ。
馬を無理やり走らせて、それを見世物にするなんて。
本当に信じられない。
私は競馬場の馬の宿舎へと向かう。
そして、柵とドアを開け放った。
だが、出ていく馬は一頭もいない。
急に自由になることに戸惑っているのかもしれない。
私は後ろから馬に近づき、思い切り尻を叩いた。
馬はかなりビックリしたようだ。
これで、きっと外に出てくれるだろう。
終わり。
■解説
馬に後ろから近づき、驚かせてしまうと蹴られてしまう可能性が高い。
語り部は解放しようとした馬によって死んでしまうかもしれない。