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意味が分かると怖い話 解説付き Part541~550

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ロウソク

男は登山が趣味だった。
夏は忙しく、登山ができなかったので、その年は冬山に挑戦することにした。
 
しかし、初めての冬山は登山に慣れた男でも厳しく、遭難してしまった。
 
日が暮れ、テントを持ち込んでいなかった男は焦り始める。
何とか道を探そうと歩いていると、小さな小屋を見つけた。
 
男はその小屋で一晩を過ごすことにした。
 
小屋に入ると、外よりはマシだが、それでも凍えるように寒い。
そこで、暖がとれるものがないか小屋の中を探す。
しかし、毛布や燃やすものはない。
あるのは、一本の小さなロウソクだけだった。
 
夜になるとさらに気温が下がっていく。
寝てしまうと死ぬと考えた男は何とか寝ないように耐えるが、気を抜くと眠ってしまいそうになる。
 
そこで男はロウソクに火をともしてみた。
ロウソクの火を見ていると、なんだか温かくなった気がした。
 
さらに、ロウソクの火が男を照らし、その光により男の影が出来る。
すると、不思議なことに男の影が話しかけてきた。
 
死ぬ前の幻覚かと思いながらも、男はその影と話続けた。
そのおかげか、男は朝まで寝ずに済む。
 
そして、朝になり、男はなんとか下山に成功した。
 
終わり。

■解説

ロウソクは小さいものだと書かれている。
そのロウソクで朝までもつとは思えない。
つまり、朝が来る前にロウソクは消えているはずである。
そうなれば、影も消えてしまうはず。
では、朝まで男と話していたのは何者だったのだろうか。 

 

夫婦喧嘩

その夫婦は元々仲がよかった。
周りからはおしどり夫婦と呼ばれ、幸せそうに見えていた。
 
しかし、旦那の方が脱サラし、農業を始めた頃から夫婦仲は怪しくなっていく。
 
農業の経験がない旦那がすぐに上手くいくわけもなく、農業だけでは食べていけなくなり、妻の方がホステスとして働き出すようになった。
 
お互い、自分の生活リズムに合わせて行動するようになり、食事も別々にとるようになっていく。
 
お互い、寝て起きて仕事に行き、ご飯を食べて寝るという毎日を送る。
 
家の中の雰囲気も殺伐としていく。
 
そして、ついに夫婦は喧嘩をするようになる。
連日、長時間言い争いをする。
 
お互い、罵倒し続ける毎日。
 
そんなことを半年間続けたある日、旦那の方が家に帰って来なくなった。
 
妻は清々したと、旦那を探すようなことはしなかったのだった。
 
終わり。

■解説

旦那は農業で、妻はホステスである。
つまり、旦那は朝早く仕事に出て、夕方に帰ってきて夜には寝るという生活である。
逆に妻の方は夜に仕事に出て、朝に帰ってきて昼には寝るという生活のはずである。
ということは、2人は基本的に起きている時間が正反対になっている。
そう考えると、2人が長時間言い争いの喧嘩をするというのはおかしい。
夫婦はいったい、誰と喧嘩していたのだろうか。

 

ブーブークッション

タカシは大学に入学するにあたり、初めて一人暮らしをすることになった。
その解放感と嬉しさで、タカシは大学で出来た友達をさっそく家に呼ぶことにした。
 
マサシとマサオとカオリを呼ぶことになった。
 
タカシは人数分の食べ物と飲み物を用意し、女の子が来るのでトイレのタンクに置くだけの洗浄剤も買い、ちょっとしたイタズラ心でブーブークッションを買った。
 
そして、当日。
みんなが家にやってきた。
 
最初はワイワイとゲームをしていたが、マサオが喉が渇いたと立ち上がった。
 
「あれ? ジュース一本足りなくないか?」
「マジで? じゃあ、俺、いいわ。麦茶あるし」
「おい、タカシ! トイレになに、オシャレなもの置いてるんだよ」
「ああ、昨日買ったんだよ。まだ俺、トイレ使ってないんだけどどうだった?」
「なんか、すごい濃い青色の水が出た」
「最初はすげー色、濃いよな」
 
そう話していると、カオリがブーブークッションに座った。
すると、ブーという大きな音が出て、みんな笑う。
 
ただ、その音が大きすぎるので、タカシはすぐに捨てようと思っていた。
 
その日は楽しく過ごし、みんな帰っていった。
 
そして、その夜。
寝ているといきなり、ブーと言う音が響いた。
 
びっくりして起きるタカシ。
この家にはタカシしかいない。
 
もしかしたら、家に幽霊がいるかもしれない。
 
そう思い、タカシは引っ越しを決意した。
 
終わり。

■解説

幽霊は質量を持たないので、ブーブークッションを鳴らすのは難しい。
ポルターガイストだったとしても、クッションが動いたとしても、やはり音を鳴らすのは困難ではないだろうか。
そして、ジュースが1本足りないことや、買ったばかりのトイレの洗浄機の洗浄液が流れたことを考えると、幽霊ではなく、タカシの家に誰かがいると考えた方が自然なのかもしれない。

 

漂白剤

珍しく一人でいるTがこんなことを相談してきた。
 
「服のシミを落とすのに、いい方法を知らない?」
 
そこで俺はいつも使っている洗濯洗剤を勧めたが、Tは首を横に振った。
 
「大体の洗剤は試したんだよ。でも、全然落ちなくてさー」
 
それなら、クリーニング屋に頼むのはどうかと、言ったら、またしてもTは首を横に振る。
 
「俺、あんまりお店は信用できなくって」
 
俺は思い切って捨てて同じのを買うのはどうかというと、それも首を横に振るT。
 
「あのシャツの柄、もう売ってないし、気に入ってるから捨てたくないんだよな」
 
Tはどうしても、そのシャツの汚れを落としたいらしい。
俺は最後の手段として、思い切って漂白剤を使ったらどうかと言ってみた。
するとTは少し考え、スマホを出して、何かを検索し始める。
その後、急にTの顔が明るくなり、「ありがとう、試してみる」と言って走っていった。
 
次の日。
Tはご機嫌な顔して、俺にお礼を言ってきた。
 
「サンキュー。完璧に消えたよ。ほら!」
 
そう言って、Tは着ている真っ白のシャツを指差した。
俺は漂白剤を使うと他の色も落ちてしまうと心配していたが、真っ白だったならいらない心配だったようだ。
 
Tも喜んでるし、言ってよかった。
 
それにしても、Tといつも一緒にいるOの姿を最近、全く見てないな。
どこに行ったんだろう。
 
終わり。
 

■解説

最初、Tは「あのシャツの柄」と言っているのに、着てきたシャツは真っ白なのは違和感がある。
そして、漂白剤は血液を落とすのに一番適している。
さらに、Tと一緒にOの姿が見当たらない。
もしかすると、Tが落としたかったのは血痕だったのかもしれない。
そして、その血痕は誰のものか?
それはOである可能性が高い。

 

中古の家

ある老夫婦は仕事の引退後、田舎に中古の一軒家を購入した。
 
都会の懸想を忘れ、ゆっくりとした毎日を過ごす老夫婦。
しかし、1ヶ月もすると夜な夜な、赤ん坊の泣き声が聞こえるようになった。
 
家の中を散策するが、もちろん、赤ん坊なんていない。
 
もしかすると赤ん坊の幽霊かもしれないと考えた老夫婦は住職にお願いをして、お払いをしてもらった。
 
しかし、それでも泣き声は止まらない。
 
もう、家を売ってしまおうかと思った矢先だった。
 
妻の方が地下の倉庫の壁に隠しドアがあることを発見する。
さっそく、隠しドアを開いて見る。
すると、その先には小さな小部屋があり、そこにあるベッドの上に赤ん坊が寝かせられていた。
 
赤ん坊はかなり衰弱していて、老夫婦は慌てて救急車を呼んだ。
 
なんとか赤ん坊は一命を取り留めた。
警察は、おそらく前の持ち主が赤ん坊をその部屋に隠して、家を出たのではないかと推測した。
もちろん、前の家の持ち主の足取りは掴めず、警察も困り果てていた。
 
老夫婦は、これも何かの縁だと思い、その赤ん坊を養子として迎え、育てることにしたのだった。
 
終わり。

■解説

老夫婦はこの家に引っ越してきてから1ヶ月以上が経っている。
赤ん坊が1ヶ月間、放置されたままで生きていられるのは難しい。
そして、発見された時、赤ん坊はかなり衰弱していた。
そんな状態で夜な夜な泣き続けられるわけがない。
では、赤ん坊は一体何者で、夜な夜な泣いていた声は一体、なんだったのだろうか。

 

サイコパス

その少年は昔から、周りとは違うと思っていた。
人が気にすることも全く気にならなかったり、逆に人が気にしないところが凄く気になったりしている。
 
少年はそれでも特に気にしなかった。
だが、最近、凶悪な事件が続いているせいか、学校で「あるテスト」を実施することになった。
 
それは「サイコパス診断」だった。
 
少年は別にサイコパスと診断されることは構わないが、そのせいで行動の制限がされると考えると、なんとしてでも避けたかった。
 
そこで少年は親友に色々と聞いて、診断の模範解答を作った。
そして、テストの当日。
 
少年は模範解答をテストに書いた。
 
数日後。
少年はサイコパスと診断され、精神病院に入院することなってしまった。
 
終わり。

■解説

少年は親友に聞いて、解答を作った。
だが、それによりサイコパス診断されてしまった。
つまり、少年の親友がサイコパスということになる。

 

13階段

最近、引っ越しをした。
 
見つけたアパートは事故物件でもないのに、妙に安く、その上あまり人が入ってないとのことで、すぐにその場所に決めた。
 
駅も近いし、周りにお墓があるわけでもない。
なんで安いんだろうと、不思議ではあった。
 
引っ越しするときの業者も、物を運ぶときに「階段見た? 俺、初めてだったんだけど」などと盛り上がっていた。
そのとき、「何が初めてなんですか?」と聞いてみたけど、なんだか濁されてしまった。
 
3ヶ月以上、住んでいるけど、今のところは特に何もない。
気にしないでおこうと思っていた矢先、また一人、アパートから出て行った。
 
何となく不気味という理由だけで出て行きたくもないし。
 
そんなとき、あることを聞いた。
 
それは13階段というものだ。
13段というのは死刑台の階段の数で、それは縁起が悪いらしい。
普通、大工さんも階段の数は13段にはしないとの話だ。
 
この話を聞いて、ピンときた。
きっと、アパートの階段は13段なんだ。
 
すぐに帰って、確認してみる。
 
10、11、12、13、14。
 
14段だった。
 
なんだ。違うのか。
ドキドキして損した。
 
終わり。

■解説

引っ越し業者が階段のことを話していることや、妙に家賃が安いこと、人が住まないところから見て、そのアパートは13段だという可能性は高い。
だが、なぜ、語り部が数えたときは14段あったのか。
もしかすると、このアパートの階段は数が変わるという怪奇現象も起こるので、人が住み着かないのかもしれない。

 

図鑑

男の子はある日、親に古本屋で絶滅した動物の図鑑を買ってもらった。
その図鑑はとても分厚い上に、多くの空白のページがあった。
 
男の子は空白のページはなんだろうと思いながら、いつも図鑑を眺めていた。
 
そんなあるとき、テレビである鳥が絶滅したというニュースが流れているのを見つける。
男の子は図鑑に載っているかなと思いながら、調べてみた。
すると、その鳥が図鑑に載っていた。
 
だが、不思議なことにその鳥が載っていたのは、空白のページのはずだった。
おかしいなと思いながら、過ごしていると、またニュースで絶滅した動物のことをやっていた。
 
男の子はまた図鑑で調べてみると、やっぱり、空白のページだったところにその動物のことが書かれていた。
 
男の子は新しく動物が増えていく不思議な図鑑にすっかり魅了され、毎日夢中になって見ていた。
 
徐々に図鑑のページが埋まっていく中、男の子は図鑑に自分の写真が載っていることに気づいた。
 
終わり。

■解説

その図鑑は絶滅する動物が載る不思議な図鑑だった。
男の子がその図鑑に載ったということは、人間が絶滅してしまうということになる。

 

トレーディングカード

今、日本であるトレーディングカードゲームが流行っている。
僕ももちろん、そのゲームにはまっている。
 
お小遣いを全部、カードにつぎ込んでもレアカードなんて出ない。
だから、全然勝てない。
 
それが凄く悔しい。
でも、そんなとき、応募者の中から1人だけに超レアカードが当たるというキャンペーンがあった。
 
僕はそのとき、お年玉を全部つぎ込んで応募ハガキを買った。
でも、やっぱり、そういうのは当たらない。
 
そう思っていたら、クラスメイトで当たった奴がいた。
 
超レアカードだから、物凄く強い。
そいつは今まで、クラスの中でも雑魚だと思われてたのに、一気に学校内でもトップにプレイヤーになった。
 
凄いズルい。
あんな奴にあのカードは勿体ない。
カードの能力も全然、使いこなせてない。
 
だから、僕は計画を練って、そいつから例の超レアカードを取ってやった。
アリバイなんかも頑張って作ったから、僕が盗んだとはバレなかった。
 
そいつはガッカリしていた。
それを見て、ちょっと可哀そうになったけど、あいつに持たれるより、僕の方が絶対、超レアカードを使いこなせるはずだ。
 
だけど、ほとぼりが冷めるまで、そのカードは使わないようにした。
 
それから1年後。
ほとぼりが冷めた頃、ある大会に出た。
日本一を決める大きな大会だ。
 
そこで僕は優勝した。
 
壇上でインタビューされて、ドキドキしたけど、すごく嬉しかった。
 
終わり。

■解説

超レアカードは1枚しかないはずである。
それを使って優勝し、インタビューまで受けてしまった語り部。
大勢の前で、レアカードを盗んだことを自白してしまったことになる。

 

見本市

男の子供はある病気にかかっていた。
このままでは子供は助からないと医者に言われて絶望する。
 
そんなとき、男はある見本市に行った。
 
ある店の前で立ち止まる男。
 
その店の前には元気な男の子が走り回っていた。
 
男はすぐに購入を決意した。

終わり。

■解説

その見本市は臓器提供のお店だった。

 

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