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意味が分かると怖い話 解説付き Part431~440

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脱出ゲーム

俺は脱出ゲームが好きだ。
脱出ゲームをしているときが、唯一、つまらない現実を忘れられる。
 
だけど、あの感染症のせいで、脱出ゲームの開催が一気に減った。
そのせいで、俺のメンタルはボロボロになっている。
 
だが、ようやく感染症も治まり、徐々に脱出ゲームの開催も多くなってきている気がする。
 
もちろん、俺はこれまで我慢してきた分を取り返すように脱出ゲームに参加した。
 
ただ、なんというか全然物足りない。
 
普通の脱出ゲームでは俺の心は癒されなかった。
 
そんなとき、ネットで密かに話題になっている脱出ゲームがあった。
ネットで話題なのに、言ったという人の書き込みが全然ない。
 
その時点で結構、興味をそそられたが、なにより俺に刺さったのが煽り文句だった。
 
『つまらないリアルから脱出しよう』
 
俺はすぐにこの脱出ゲームに参加した。
 
三人一組で参加するゲームのようで、俺は見知らぬ2人と組むことになった。
この辺はリアル脱出ゲームではあるあるだ。
 
3人で通路を歩いていると、3つのドアがある部屋にたどり着く。
 
部屋の真ん中には小さなテーブルがあり、そこには一枚の紙が置いてあった。
 
『3つの道具の中から一つ選んで、それぞれの部屋に入ってください』
 
そして、その3つの道具というのが、以下のものだ。
 
ロープ。
ナイフ。
ライター。
 
変わった脱出ゲームだ。
三人一組でチームを組んでいるのに、道具を選んだら、一人になる構成になっている。
 
俺は何となくロープを選んで、指定されたドアを開けた。
 
その先はドアや窓もなく、部屋の中央に椅子が一つだけ置いてある部屋だった。
 
どういうことだろうと思い、俺は部屋を見渡す。
そして、天井を見て、俺は納得した。
 
確かに脱出ゲームだ。
 
俺はこの後、見事脱出に成功した。
 
終わり。

■解説

この脱出ゲームの煽り文句は『リアル』からの脱出である。
リアルというのは現実世界のことだった。
つまり、この世界から脱出するということは死を意味する。
 
語り部はロープを選んでいるが、天上を見るとロープを引っかけるフックがあった。
これで語り部は首を吊ったわけである。
ちなみにナイフは手首を切る用で、ライターは練炭に火をつけるための道具だった。

 

今年最後の海

大学の夏休みも後半に差し掛かった。
この夏休みはバイト三昧で、ほとんど遊べていなかったから、友達を誘って、今年最後の海に行こうと誘った。
 
最初はみんなノリノリで行く行くと言ってOKしてくれたが、結局、準備は言い出した私がやることになった。
 
飲み物と食べ物を買い込んで準備する。
 
すると友達の一人から、「まだ海は混んでるみたいだから、場所取りよろしく」と来た。
 
準備までさせておいて、場所取りまでやらされるのか。
 
こうなってくると海に行きたいなんて言うんじゃなかったとさえ思う。
 
当日、朝から一人、電車で海に向かう。
本当なら、みんなでワイワイしながら一緒に行きたかったんだけどな。
 
海についてみると全く人がいなかった。
まだ、朝だからかと思ってたが、昼近くになっても、誰も来ない。
 
場所取りなんてする必要なかったじゃん。
 
そうは思いつつも、来てしまったからにはとりあえず場所を確保しておく。
 
浜辺には誰もいないせいか、お店なんかも全く出ていない。
だから、喉が渇いたら、持ってきた飲み物を飲むしかない。
 
ただ、重いし、現地で買い足すつもりだったから、そんなには持ってきていない。
 
そして、待つこと3時間。
もう9月の末だっていうのに、真夏かってくらい暑い。
 
喉がカラカラだけど、お店まで行くのが面倒くさい。
 
みんな早く来て。
 
そう思っていると、ラインが来た。
 
「今日、暑いし、やっぱりカラオケにしない?」
 
すると、他のみんなもそれに賛成していく。
 
やってられるか!
 
私はラインを既読スルーして、取っておいたビールを開け、みんなでやろうと思っていたスイカ割りのスイカを食べ始めた。
 
あの子たちとの付き合い方も考えないとな。
 
イラだっているせいか、暑さで温くなっているせいか、スイカはものすごくマズかった。
 
終わり。

■解説

ビールとスイカの食べ合わせはかなり危険である。
一緒に食べることで脱水症状になる恐れがあるのだ。
語り部の近くには人もいなく、お店も遠いこと、そして炎天下の下で何時間も待っていたこともあり、この後、語り部は脱水症状で倒れる可能性が高い。
また、そうなったとき、発見される可能性も低いことから、命の危険も考えられる。

 

懺悔室

教会の懺悔室で神父が待機していると一人の男が入って来た。
 
「実は私、殺人を犯しているんです」
「え?」
「なんというか、定期的に殺人衝動が起こってしまい、どうしようもなくなるんです」
「……」
「この衝動が起きるようになったのは、私がまだ15歳になるときのことでした」
「……」
「衝動が起きるのは大体、3年から5年の周期なのです」
「ということは……」
「はい。もう10人以上殺しています」
「……自首はしないんですか?」
「ええ。なぜなら、私はこれを罪だと思っていませんから」
「どういうことですか?」
「私が殺すのは罪を犯した者だけです。つまり、司法の代わり……いや、神の代わりに行っているのです」
「あの……一ついいですか?」
「なんでしょうか?」
「どうして、私にそんな話をしたんですか?」
「たまには聞く方ではなく、話す方をしてみたくなったんですよ」
 
終わり。

■解説

罪を告白したのは男ではなく神父の方。
つまり、神父は定期的に殺人を犯している。
そんな神父が男に罪を告白した。
そして、神父は殺人を罪に思っていなく、これからも続けていくだろうと考える。
この神父の告白を聞いた男は無事で帰れる可能性は限りなく低い。

 

標識

これはあんまり話したくない話だ。
 
それは彼女と夜のドライブに行っていた時のこと。
突然、彼女がこんなことを言い出した。
 
「ねえ、知ってる? この辺、幽霊が出るんだって」
「あはは。よくある話だな」
「本当だって。あ、ほら、あそこ見てよ。あの標識」
 
彼女が指差した標識にはビックリマークしかないものだった。
 
「あれって、幽霊注意の看板なんだって」
「ホントかよー。ウソくせー」
「いや、ホントに出るらしいよ。女の人の幽霊」
「ふん。幽霊が怖くて、夜の山道を走れるかよ」
「きゃーーー! あれ! ホントに出た!」
「出たからってなんだよ。そんなの通過しちまえばいいだけだって」
 
そして俺はアクセルを思い切り踏んだ。
 
その後、ドンと大きな衝撃が走った。
 
終わり。

■解説

幽霊なら車に衝撃は走らないはずである。
つまり、語り部は幽霊ではなく本当の人間を轢いてしまった。
また、最初に語り部は「思い出したくない話」と言っている。
もしかすると、語り部は轢いてしまった後、その死体を山の中に隠し、飄々と過ごしているのかもしれない。

 

サファリパーク

俺は休暇を使って、友人と一緒に海外旅行に行った。
俺も友人も、毎日同じことの繰り返しに辟易していて、刺激を求めていたのだ。
 
そんな旅行先で、サファリパークの看板を見つけた。
俺も友人も動物が好きなので、すぐに行こうということになった。
 
車の中から動物を見る。
だが、思ったよりも迫力を感じなかった。
 
そんなとき、ポツリと友人が「車を降りてみないか」と言い出した。
 
友人の気持ちもわかる。
とにかく刺激が欲しかったのだ。
 
俺は友人の言葉に頷き、外に出てみた。
それは凄く刺激的で、非日常感を味わえた。
 
だが、それもドンドンと麻痺していき、今度は徒歩でパーク内を歩くようになっていた。
 
そのときは俺も友人も「襲われないだろう」と高をくくっていたのだ。
 
だが、その安易な考えはすぐに後悔する結果となる。
 
いきなり友人が虎に襲われたのだ。
 
俺は友人を助けることも忘れ、必死に走った。
とにかく走った。
 
もう車の場所さえもわからなくなった。
 
走る中で肉食動物が目に入る。
それはもう生きた心地がしなかった。
 
だけど、俺は何とか草食動物のエリアに到着することができた。
 
安心すると、急に力が抜け、その場にへたり込む。
 
視線を上げると遠くに象の群れが見える。
 
その中の象が耳を広げながら、こっちを見ていた。
それはまるで、俺を歓迎しているようだった。
 
終わり。

■解説

象は草食動物だが、非常に危険な動物で、世界では年間500人ほどが象によって命を落としている。
そして、象が耳を広げるというのは怒っているときの仕草とされている。
時速40キロで走ると言われている象に狙われた語り部が、この後、どうなったかは火を見るより明らかである。

 

神に愛された少女

一人の少女がいる。
その少女は純真無垢で清廉潔白だった。
 
そんな少女を神は愛していた。
 
ある日、少女は戦争の悲惨さを知り、涙する。
 
三日三晩、少女は神に祈り、願い続けた。
 
「世界から争いを無くしてほしい」
 
神は少女の純粋な願いを受け入れた。
そして、少女の願いは叶う。
 
世界には少女一人だけが残された。

終わり。

■解説

争いを無くすには人間自体を消せばいいと神は考えた。
また、少女以外に誰一人残さなかったということは、純粋無垢な少女でさえも、人といれば争いを起こすと判断されたと考えられる。

 

捨て犬

犬を拾った。
 
生後半年くらいの犬で、弱った状態で道端で倒れ込むようにして寝ていた。
連れて帰ろうと手を伸ばしたら噛まれてしまった。
 
血は出てしまったが、噛む力は大分落ちているようだ。
 
まずは汚れた体を洗おうとするが、物凄く嫌がったのでタオルで拭いてあげた。
噛み癖がついているのか、買ってあげた犬小屋を噛んでいる。
いつも涎を流していたので、綺麗に拭いた。
 
だけど、弱っていくばかりで、足腰も立たなくなり、いつも虚ろな目をしている。
 
拾ってから1週間後。
その犬は死んでしまったので、庭にお墓を立ててあげた。
 
終わり。

■解説

拾った犬には狂犬病の症状が出ている。
拾う際に語り部は犬にかまれている。
つまり、語り部は狂犬病になっている可能性が高い。

 

人見知り

ある人見知りの少年がいた。
 
クラスに馴染むことが出来ず、いつも一人ぼっちで過ごしている。
 
そんなある日、少年に友達が出来た。
 
少年はそれが嬉しくて、いつもその友達と一緒に過ごした。
学校ではもちろん、家でも一緒に遊んでいた。
 
少年にとって、その友達がいれば他に友達なんかいらないと思っていた。
 
あるとき、クラスメイトの一人がいつも一人の少年が心配になり、声をかけた。
 
終わり。

■解説

少年の友達は、学校でも一緒にいるはずなので、クラスメイトが少年に対して一人でいることを心配するのはおかしい。
つまり、少年の友達は他のクラスメイトには見えていないということになる。
一体、少年は誰と遊んでいるのだろうか。

 

キャリーバック

キャリーバックを考えた人は天才だと思う。
50キロもある荷物だって、こうしてスイスイ持ち歩けるんだからさ。
 
まあ、俺自身は旅行では物を持って行かないんだけど、彼女の方が物凄い量の荷物を持って行くんだよね。
「住むつもり?」ってくらい大量に。
 
で、その荷物を持つのが俺なんだから、たまったもんじゃないよ。
だから、本当にキャリーバックには感謝してる。
 
……ん?
電話だ。
さっき、チェックアウトしたホテルからか。
 
「もしもし?」
「お客様。部屋に大量のお荷物をお忘れですが」
「全部処分してください」
 
終わり。

■解説

語り部は旅行に荷物を持って行かないと言っている。
そして、チェックアウトした部屋には大量の荷物が残った状態である。
今、キャリーバックには彼女の死体が入っているのかもしれない。

 

幽霊

コンビニからの帰り道に、俺、見たんですよ。
幽霊。

俺もね、幽霊なんて信じてなかったんですよ。
でも、やっぱり、実物を見たら信じざるを得ないって言うんですかね。
 
そりゃ、ビックリしますよ、死んだときのままの格好で出て来られたんですから。
 
あれは早く死体を見つけて欲しいって言ってるんだと思いますよ。
確か、まだ見つかってないんですよね?
 
まったく、警察はなにやってんだか。
 
終わり。

■解説

死体はまだ見つかってないはずなのに、なぜ、語り部は死んだときの格好を知っているのだろうか?

 

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