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意味が分かると怖い話 解説付き Part411~420

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ゲーム内転生

俺は昔からゲームオタクだった。
新作の発売日には学校をサボって買いに行き、クリアするまで1日の睡眠時間を2時間に削るくらいのことは平気でやってきた。
 
大学の受験に失敗し、今では家に引きこもり、1日中ゲーム三昧の日々を送っている。
 
ずっとゲームがやれるなんて最高の環境だ。
 
周りからは「そんなにゲームが好きならプロゲーマになれば?」なんてことを言われる。
 
わかってない。
別にゲームで食っていくなんてつもりは毛頭ない。
ゲームは楽しくやるからゲームなのであって、お金のために必死になる時点でゲームを楽しむことなんてできないだろう。
 
だから俺は今の環境が一番いいってわけだ。
 
そして、今、はまってるのがFPSのゲームだ。
いわゆる、一人称視点のシューティングゲームってやつ。
 
近代兵器とファンタジーが入り混じった世界観が、凄いツボにはまった。
 
かれこれ、1年以上、ずーっとこのゲームだけやっている。
 
もちろん、これだけの時間を費やしてる俺は、ゲーム内じゃかなり強い。
そして、結構、有名でもある。
確実にトッププレイヤーに入っているだろう。
 
もしかしたら1番かも。
初期装備のハンドガンでドラゴンを倒せるなんて、俺くらいのものだろう。
 
俺の中ではこのゲームが人生のベストゲームかもしれない。
いっそ、この世界に住みたいくらいだ。
 
そんなことを考えていたときだった。
 
俺の身に奇跡が起こった。
なんと、そのゲーム内に意識が入り込んだのだ。
 
つまり、ラノベなんかでよく聞く、ゲーム内に転生するってやつだな。
 
俺は歓喜した。
 
これで周りから「ゲームばっかり」だの「働け」だのと言われなくて済む。
この世界なら、俺は大金持ちにだってなれる。
 
どうやって、この世界で一から成り上がろうかと思っていると、町の中が随分と騒がしい。
逃げ惑う人に話を聞くと、どうやらデーモンが出たらしい。
 
デーモン。
大体、中級くらいのモンスターだ。
 
よし、さっそく、サッと倒して素材を剥ぎ取ろう。
 
ただ、そう思ったが装備がない。
さすがに俺のデータを引き継いだわけではないようだ。
 
辺りを見渡すと、ちょうどハンドガンが落ちている。
ハンドガンでドラゴンを倒せる俺だ。
デーモンなんて瞬殺できる。
 
俺は落ちているハンドガンを拾う。
 
ズシッとした重さは、ここが現実だという実感が沸く。
 
面白い。
 
俺はワクワクしながら、デーモンが出たという方向へ走り出した。
 
終わり。

■解説

語り部は、ドラゴンを『初期装備』のハンドガンで倒せると言っている。
つまり、『プレイヤー』は、最初にハンドガンを持っているはずである。
だが、語り部は『何も持っていない』状態である。
ということは、語り部はプレイヤーとしてではなく、NPSとして転生した可能性が高い。
また、ハンドガンが『重い』と感じる時点で、語り部がゲームと同じように体を動かせるとは思えない。
恐らく、この後、語り部はデーモンによって嬲り殺されてしまうのだろう。

 

成人式

ある町で成人式が行われた。
その成人式に参加したSは、同じく参加したKと家で飲むことにした。
 
初めての飲酒ということでテンションが上がるSとK。
大量に酒とおつまみを買い込み、Kの家へと向かう。
 
そして、まだ外が明るいうちから2人は飲み始めた。
 
「いやー。まさか、K先輩と会えると思いませんでしたよ」
「俺も俺も。まさか、Sがいるなんて思ってもみなかったからさ」
「彼女、できました?」
「……お前、わかってて言ってるだろ?」
「あははは」
「そういうお前は?」
「そんな場合じゃなかったですよ」
「でも、推薦だろ?」
「それでも色々とあるんです」
「はいはい」
 
そのとき、Kの携帯にお知らせ音が鳴った。
どうやらSNSで返信があったようだ。
 
「Uだ。式が終わって暇だってよ。こっちに呼んでもいいか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「よし、じゃあ、写メつけて返信するか」
 
KはSとお酒を飲んでいる写真を撮り、SNSにアップした。
 
終わり。

■解説

なぜ、Sは先輩のKと一緒の成人式なのか。
それは法律で成人が18歳に引き下げられたタイミングで、18歳になったSと20歳のKが一緒に成人式に参加したというわけである。
だが、成人は18歳でもお酒を飲めるのは20歳からである。
なので、Sはまだお酒を飲んではいけない。
それなのに、お酒を飲んでいる写真をSNSにアップしている。
Sは推薦を貰っていると言っていたが、飲酒で推薦が取り消しになる可能性がある。

 

似顔絵

男は5歳の頃、隣に住む画家に似顔絵を描いてもらった。
だが、その当時、男は出来上がった似顔絵に対して、「こんな変な顔じゃない!」と怒った。
 
それから30年後。
事故で入院していた男が、療養のため実家へと戻った。
 
しばらくは安静にしていることと、医者に言われたが暇でどうしようもなかった。
そこで男は家の裏にある倉庫を片付けることにした。
 
すると、30年前に描いてもらった似顔絵が出てきた。
あのときは気に食わなかったが、自分の顔と言われた絵を捨てる気にはなれず、取っておいたのだ。
 
どんな絵だったかと、男は久しぶりに似顔絵を見た。
 
そして、男は愕然とした。
 
終わり。

■解説

画家が描いたのは男の『未来の似顔絵』。
そして、その似顔絵を見て、当時の男は激怒したが、30年後に見た男は愕然としている。
つまり、その似顔絵には事故で傷付いた自分の顔が描かれていた。

 

ありがとう

その男は霊感が強く、霊の声が聞こえ、とり憑かれやすいことで日々、悩んでいた。
一度とり憑かれれば、成仏するまで離れてくれない。
なので、よくお寺に行ってお払いしてもらっていた。
 
そんな中、強力な霊にとり憑かれてしまった。
 
それは今まで見たことのないほどの強い怨念を持っている霊だった。
すぐにお寺に行って、お払いしてもらおうとしたが、住職でも払うことができないほどだ。
 
そこで男は、恐ろしかったが霊と対話することにする。
その霊はある女に騙されて殺されたのだという。
その女を殺すまでは成仏することはできないと霊は話した。
 
女を殺すことなんてできない。
だが、このままでは霊に憑り殺されてしまう。
 
なんとかならないだろうか。
 
そこで男は霊に女に復讐する以外で、心残りはないかを問いかけた。
すると、霊は一度、あの有名な遊園地に行ってみたかったと語る。
 
そこで男は遊園地に行く準備をして、霊に一日、自分の体を貸すことにした。
 
そして、一日が経った。
 
霊は男に「ありがとう」と言って、成仏した。
 
終わり。

■解説

霊は女を殺すまでは成仏することはできないと語っている。
そして、最後、霊は成仏している。
つまり、霊は男の体を使って遊園地に行くのではなく、女を殺しに行った。
この後、男は女を殺した罪で捕まることになる。

 

畜産

その家は畜産業を営んでいる。
 
その家に住んでいる家族は8男6女の大家族である。
その三男は弟、妹たちの面倒を見ることで日々、精いっぱいだ。
 
食事や洗濯、掃除など家事をこなすだけでも、膨大な時間がかかる。
兄妹たちはみんな仲が良く、総出で家事を手伝っているが、それでも大変である。
 
家は大きいが、部屋の数はそこまで多いわけではなく、ほぼプライベートもない。
 
そんな三男の夢は、家を出ること。
 
別にこの家が嫌いというわけではない。
自分が稼いでもっと家族たちに良い思いをしてほしいと考えているのだ。
 
というのも、その原因の一因に父親がある。
 
父親は好きな時間に寝て、好きな時間に起きるという生活だ。
しかも、家事も手伝わなければ、仕事もしていない。
 
三男はそんな父親のことが大嫌いだった。
父親がもう少しまともなら、きっと家族は違った生活を送れたはずである。
 
だから、自分が稼ぎたいと思っているのだ。
だが、日々、家事をこなすことで必死で、仕事を探すところではない。
 
そんな中、母親がもう一人、子供を産んだ。
 
終わり。

■解説

この家は畜産業を営んでいるはずである。
だが、父親はもちろん、子供たちも、何か動物を育てているような描写はない。
では、何が畜産業なのか?
それは、この家族が家畜ということを意味している。
さらに、長男と次男が出て来ない。
2人はもう家畜として捌かれたのかもしれない……。

 

ワゴンセール

掘り出し物が好きなTは、お店を回るのが日課だった。
 
いつもは個人店や骨董品、中古屋などを回るのだが、その日は何となくデパートに行ってみた。
 
デパートは新しい物しか売っていないので、見て回ってもTにとって望むようなものは置いていない。
せっかく来たのだから、一通りは回ってみようと歩いていた時だった。
 
以前は化粧品のお店だったところが閉店して、中古のゲーム店になっている。
Tはすぐに飛び込んだ。
開店してからそんなに日が経っていないようで、店内は割と混んでいた。
 
人の間を縫うようにしながら、店内を見て回るT。
 
すると、いままでずっと探していたレトロゲームを見つけた。
買おうと思い、すぐに手に取り、レジへと向かう。
 
だが、手持ちが足りないことに気づくT。
 
近くのコンビニに駆け込んでお金を降ろして戻って来るにしても、10分以上はかかってしまう。
 
もし、その間に売れてしまったらと考えると、ゲームソフトを元の棚に戻す気にはならない。
隠すようにして戻しても、見つけられない可能性は0ではない。
 
するとTは店の隣が服のお店で、ワゴンが出されているのが目に入った。
そこで、ソフトを持ち出し、ワゴンの中に積んである服のポケットに入れる。
 
これで絶対に見つかることはない。
 
安心して、Tはコンビニにお金を降ろしに走った。
 
戻ってきて、ワゴンの方へ向かうと、Tは中年の女性たちに突き飛ばされた。
振り返ると、大勢の女性がゲーム屋の隣の服のお店の方へ走っていく。
 
Tは文句を言いつつもゲーム屋の方へ歩いていく。
 
そんなとき、近くから「ワゴンセールの開始です」という声が聞こえた。
 
終わり。

■解説

Tはワゴンの中の服のポケットにソフトを入れている。
そして、ワゴンセールが行われた。
多くの女性がTを突き飛ばすほどということは、ワゴンの中の服は人気があるということだ。
ソフトの入った服が買われてしまう可能性はかなり高い。

 

教祖

その女性はある宗教にハマっていた。
 
その宗教の教祖は神のような力を持っているのだという。
人の心を読むことはもちろん、壊れたものを修復し、どんな病気も癒し、なんと死んだ人も生き返らせるのだという。
 
女性は3年前に愛娘を事故で亡くしている。
 
もし、娘が戻って来るのであれば、全てを投げ出してもいいと思っているほどだった。
そんなときに、友人からこの宗教を紹介されたのである。
友人は死んだペットを生き返らせてもらったのだという。
 
藁にもすがる思いで、女性は宗教に入った。
女性は全てを投げうって、宗教に寄付をした。
言われたことを迷いもなく実行したし、誰よりも従順に従った。
 
だが、教祖はいつまで経っても、まだ徳が積めていないと言って、娘を生き返らせてくれない。
 
そして、その頃から女性は教祖に対して、疑いを持つようになった。
 
この教祖は本当に神のような力を持っているのだろうか。
 
そこで女性は教祖を試すことにした。
 
だが、その後、女性は後悔することになる。
 
終わり。

■解説

女性は教祖の力を試すために、教祖を殺すことにした。
教祖の力が偽物であれば、教祖は死ぬので、娘が行き交えることはない。
もし、教祖の力が本物であるなら、教祖は心が読めるため、殺害は失敗する。
この場合、教祖に立てついたので娘は生き返らせてもらえない。
どちらにしても、女性の娘が生き返ることはないということになる。

 

分岐器

男は田舎にある、列車のレールを整備する仕事をしている。
 
ほとんど列車も通ることもなく、ほとんど使われていない。
なので、男は一人でこの仕事をしている。
 
また、列車が通ることがほぼないので、よく子供がレールの上で遊んでいる。
男が何度注意しても聞かないので、男は廃線となったレールの方で遊ぶように言った。
 
廃線となった駅には、以前、男も住んでいた。
生まれ育った町が、寂れていき、列車が止まらなくなってからはさらに人の減少が加速した。
 
なんとも寂しい話だ。
 
男がため息を付いた時だった。
突然、汽笛の音が響いた。
 
そういえば、今日は臨時に列車が走ると聞いていた。
 
轢かれる!
 
男は慌てて列車の分岐器を操作し、列車を廃線となった方向へ向かわせた。
 
そのおかげで男は轢かれずに済んだ。
 
終わり。

■解説

男は助かったが、廃線となったレールで遊んでいる子供たちは轢かれてしまった。

 

出る杭は打つ

男は嫉妬深い上にプライドが高く、他人を信じられない人間だった。
 
男は仕事では特に優秀ではなかったが、自分よりも優秀な人間を騙し、潰し、退社に追い込むことで自分の地位を守ってきていた。
 
男よりも優秀な人間がいなくなったことで、男はドンドンと出世していく。
 
そして、ついには代表取締役にまで昇りつめた。
 
だが、その立場になり、男は今までしてきたことを酷く後悔した。
 
その後まもなく、男は自殺をしてしまった。
 
終わり。

■解説

男は優秀な人材を会社から追い出している。
しかも、男は仕事では優秀でない。
周りはそんな男よりも仕事ができない人間ばかりになっている。
そんな会社がいつまでも利益を得続けることは難しい。
男は大損害を出している会社の取締役になり、全ての責任を押し付けられてしまった。

 

カチコミ

男は暴力団の組員だった。
その組のおかげで男は色々と好き勝手やってきた。
 
だが、それも長くは続かなかった。
というより、そんな男のことを組が厄介に思ったのだ。
 
男は抗争の鉄砲玉に任命される。
 
「20年我慢してムショに入って出てくれば、お前は幹部だ」
「……やります!」
「よし、じゃあ、お前にはこれを渡しておく」
「……マシンガンですか?」
「ああ。これがあれば、組の一つくらい簡単につぶせるさ」
「いいんですか? ……あ、もしかして、ポンコツとか?」
「ちげーよ。組もお前には期待してるんだ。そのマシンガンは整備されたばっかりだよ」
「そうですか。じゃあ、行ってきます」
「頑張れよ」
 
男はマシンガン一つ持って、相手の組に乗り込んだ。
 
終わり。

■解説

男はマシンガン一つしか持たされていない。
しかも、整備されたばかりのものである。
つまり、弾が入っていない。
そんなマシンガンで相手の組に乗りこめばどうなるかは火を見るよりも明らかである。

 

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