本編
ある小さな村で連続殺人が起こった。
犠牲者は全て若い女性で、首には噛まれたような跡があり、血を抜かれて死んでいた。
村の女性たちはヴァンパイアが現れたと恐れた。
この村では過去にも、たびたびヴァンパイアが現れて人々を襲ったという伝承がある。
今までその伝承を信じていなかった人でも、日々、教会に通ってお祈りをし、夜は家から出ないように心掛けた。
しかし、一向に犠牲者は減らない。
しかも、村に不審な者を見たという情報も出て来ない。
そこで村人たちは、ヴァンパイアが村人に化けているのではないかと考える。
村人たちは話し合い、ヴァンパイアを見つけ出す方法を考え出した。
その方法は一人ずつ教会に行き、司祭に確認してもらおうという方法だった。
教会にはたびたび現れたヴァンパイアを消滅させた聖水が置いてある。
それを司祭が、教会にやってきた人間に振りかけることで判別するのである。
もし、聖水を浴びることを拒否した人がいれば、その人間がヴァンパイアということがわかる。
次の日から、村人たちは順番に1人ずつ教会へと向かった。
そして、数ヶ月後。
全ての村人が教会で聖水を浴びた。
だが、その聖水で苦しむ村人はいなかった。
ヴァンパイアはもう逃げていったのかと、村人たちは思ったが、女性の犠牲者が減ることはなかった。
終わり。
■解説
村人たちの中で、唯一、聖水を浴びていない人間がいる。
それは司祭。
つまり、ヴァンパイアは教会の司祭に化けていた。