本編
その女の子はSNSに依存する傾向があった。
3分ほどの空き時間があればすぐにSNSをチェックするし、どこに行ってもまずは写真を撮って、それをSNSにアップしている。
自分を見て欲しいという承認欲求が強く、とにかく写真の映えにこだわっていた。
だが、その女の子は、自分を見て欲しいということで自分だけが写っている写真をアップしても、評価が上がらないため、いつも2人で写真を撮るようにしている。
仲のいい友達と一緒に撮れば変な嫉妬心を持つ人も少なくなるだとうと考えたからだ。
そして、その考えは当たったようで、女の子2人で撮った写真は好評だった。
どこに行くときでも、その仲のいい友達とツーショットの写真をアップする。
仕事でのちょっとした休憩中やランチ、休みの日に買い物に行っても、旅行に行っても、いつもその友達とツーショットを撮る。
そんな女の子のSNSを見た同僚が、「本当に仲がいいんだね」と言うと、女の子は「大親友なんです。私たちはいつも一緒なです」と笑顔で言う。
同僚は「今度、私にも会わせてよ」と言うと、女の子はキョトンとした顔をして、こう答えた。
「今もいますけど」
終わり。
■解説
仕事中の休憩の写真にも写っているのに、同僚が知らないというのは変な話である。
そして、「今もいる」という、女の子の言葉。
つまり、いつもツーショットを撮っている女の子の親友というのは幽霊なのかもしれない。