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意味が分かると怖い話 解説付き Part111~120

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パスポート

男は酔っぱらっていた。
 
千鳥足で歩いていると、あるカップルにぶつかった。
男は激怒し、男をボコボコに殴り倒す。
 
しかし、ボコボコに殴り倒した際に、相手の男は打ち所が悪く、死んでしまった。
 
慌ててその場から逃げたが、すぐに指名手配されてしまう。
このままでは捕まってしまう。
 
そう考えた男は知り合いの闇医者のところへ行き、整形をした。
 
これでしばらくは大丈夫だろうと思っていたが、どうやら殺してしまった相手は警察の関係者らしく、捜査は大規模に行われている。
 
そこで男は国外へ逃げることにした。
他人の戸籍を買い、パスポートを用意しようとしたが、整形でお金を使ってしまい、手元にはほとんどお金が残っていなかった。
 
ブローカーに一番安いものでいいから、なんとか譲ってほしいと頼み込む。
 
するとブローカーは破格の値段のものを提示してきた。
どうせ、飛行機に乗るために使うだけだと考え、男はその戸籍を買い、パスポートを作った。
 
そして、飛行機に乗ろうとしたときだった。
 
男は捕まり、そして、死刑になった。
 
終わり。

解説

男は連続殺人犯の戸籍を買ってしまった。
つまり、自分が犯した罪よりも重い人間に成りすましてしまったのだ。

 

不法投棄

電化製品にリサイクル料が発生するようになってから、その山に不法廃棄をする人間が増えてきた。
 
捨てられるものは冷蔵庫や洗濯機などの大型なものから、時計やミキサーなどの小型なものまで様々だ。
だが、こんな不法地帯にも、暗黙のルールがある。
 
それは機械類以外を捨てないということだ。
 
つまり生ごみやプラスチック、木材などの機械ではないものを捨ててはいけないというルールである。
 
このルールがいつできたかはわからないが、この場所を知っている人間は絶対的な暗黙のルールとして厳守してきた。
そして、そのルールをいまだに破った人間はいなかった。
 
しかし、そんなある日、ある男が深夜にこっそりとやってきて、この場所に冷蔵庫を捨て、逃げるようにして帰っていった。
 
数日後、男は変死体として発見された。
その男の胸には大きく、罰という文字が刻まれていたのだった。
 
終わり。

解説

男が捨てた冷蔵庫の中に、機械ではないものが入っていたため、見せしめとして殺されてしまった。
男は深夜にこそこそと捨てたところから、冷蔵庫に入っていたのは死体なのかもしれない。

 

100%の暗殺者

男は凄腕の伝説級の暗殺者だった。
 
どんな依頼でも、その達成率は100%を誇ると噂されている。
現に、男に依頼して、失敗したという人間が全くいない。
 
金さえ積めばどんな人間も暗殺するという男。
男は必ず報酬は、成功してから受け取る。
前金は絶対に受け取らない。
それが男のポリシーだった。
 
今回も多額の金を積まれて、要人の暗殺の依頼が来た。
 
男は依頼なようを見て、頭を悩ませる。
今までにないくらいの何度の依頼だった。
 
だが、男は決して依頼を断るようなことはしない。
 
男は暗殺を決行する。
しかし、ほんの小さな運の差で失敗してしまった。
 
男はためいきをつき「今回は金にならない殺しか」と呟いた。
 
終わり。

解説

男は暗殺に失敗した際は「依頼者」を殺害することで、「依頼達成率を100%」にしていた。
つまり、「依頼されたこと」自体をなかったことにしていた。

 

死を見る鏡

鏡は女の子にとって必需品。
私は今日も、家を出る前にしっかりと鏡を見て身なりを整えてから出発する。
どんなに時間がなくても、それだけは徹底している。
 
そんなある日、いつも使っている洗面台の鏡にヒビが入ってしまった。
これだと、毎日の身だしなみチェックに影響が出てしまう。
 
そこで、仕事の帰り道に新しく見つけた古いアンティークショップで鏡を買うことにする。
 
そこはアンティークショップというより、古物商店という感じで、わけのわからないものや不気味な物も置いてある。
 
中にはちゃんとお洒落な物もあって、色々と店内を物色していた。
すると、店の端に布がかぶせられた大きな鏡があった。
鏡の部分は布で隠されていたが、大きさや鏡の周りの装飾品が、私の好みにぴったりだった。
 
そこで、店のおじさんにこの鏡が欲しいというと、最初は喜んでいたのに、途中でやっぱり売れないと言い出した。
理由を聞いてみると、その鏡は死に顔が映るのだという。
 
私はオカルトなことはまったく信じていなかったので、それでも欲しいというと、何があっても知らないと注意され、なんとか買うことができた。
 
さっそく洗面台にセッティングする。
すごくいい感じだ。
 
あまりにもいい感じなので、自慢がてら、友達を呼んで見てもらった。
 
すると友達は鏡を見て悲鳴を上げた。
なんでも、自分の顔が老婆のように見えたのだという。
 
もしかして、店のおじさんが言ってたのは正しかった?と思いながらも、私は普通に写るので特に気にも留めなかった。
 
私は今日も家を出る前に鏡を見て、身だしなみをチェックしてから家を出る。
 
ホント、鏡は女の子にとって必需品だよね。
 
終わり。

解説

友人は老婆の顔で写ったということは、この鏡は店の店主の言うように死に顔が写るというのは本当である。
だが、語り部は変わらずに写るということは、近いうちに語り部の元に死が訪れてしまう。

 

村八分

山奥にある小さな農村。
村の人口は少ないが、それが返って村人の結束を高めている。
 
その村には様々な独特のルールがあり、村人はみんな、それに従って生きてきた。
村人たちはそれが当たり前だと信じ、それを守ることに何の疑問も持っていなかった。
 
しかし、そんな村にもネットの波が押し寄せる。
当たり前だと思っていたルールが、村独特のものだと若者を中心に知れ渡っていく。
 
そして、村から出ていく人間も出てくるようになった。
 
そんな状況に村長は焦り始める。
より厳しいルールを課して、村人たちを縛り始めた。
 
もし、ルールを破るような村人が出るようなら、村八分を行った。
 
この小さな村で村八分にされた人間は精神を病み、自ら命を絶つ者も少なくない。
それを見て、村人は恐怖し、みんな、村長の顔色を窺うようになっていく。
 
そんなとき、ある家族がこの村に引っ越してきた。
その家族は最初、周りに気を使っていたが、次第に村のルールを破るようになっていく。
 
そこで村長はその家族の村八分を決める。
 
まずはごみの収集場所を突然、変えるという嫌がらせをした。
 
家族は突然、ゴミの収集場所を変えられてしまったので、ごみを捨てられず困り果てる。
そして、色々と村人に聞いて回る。
そこで、家族は新しいごみの収集場所を見つけ、そこに捨てるようになった。
 
村長はそれを見て、またごみの収集場所を変えることにして、新しいごみ収集場所を村八分している家族以外の村人に知らせた。
 
次のごみ収集日。
村長は新しいごみ収集場所にごみを捨てに行った。
 
しかし、そこには先週、村長がごみを捨てた状態のままになっていた。
 
終わり。

解説

村長がごみを捨てた状態のままということは、そこは「ごみ収集されていない」ということになる。
それは、村長が新しく決めたごみ収集場所が、収集場所として機能していないということになる。
つまり、今まで村八分をしていた村長が、逆に村人たちから村八分にされ始めたことをしめしている。

 

お葬式

突然の他界。
俺もそうだが、家族の誰もが驚いた。
 
昨日までピンピンしていて持病もなく、100歳までは余裕で生きるだろうと言われていたからだ。
とはいえ、こうなってはお葬式をあげる必要が出てくる。
 
今まで他人の家のお葬式に出ることはあっても、喪主側としてのお葬式は経験がない。
だから、戸惑うのも仕方がない。
 
孫なんかはインターネットで色々と調べてくれていた。
死を悲しむ暇もなく、慌ただしくお葬式の準備が行われていく。
 
だが、お通夜の後の、親戚一同が集まったときはさすがに泣けてきた。
こうやって全員が集まるのはいつ以来だろうか。
こんなことなら、もっと早くになにか理由を付けて呼べばよかったと後悔する。
 
そして、お葬式当日。
式に来てくれた友人たちが挨拶に来てくれる。
 
もう20年も顔を合わせていなかった友人が来てくれたことは本当にうれしかった。
ところどころ、不手際もあったけれど、お葬式も無事に終わった。
 
自分でいうのもなんだが、なかなか良い式だったと思う。
 
なんだかホッとして、体が軽くなった感じがする。
これでゆっくりできそうだ。
 
終わり。

解説

語り部が亡くなった本人。

 

厄年

俺は今、2歳年上の彼女と付き合っている。
マッチングアプリで、本当は年下か同世代で探してたんだけど、ちょっとしたきっかけで彼女と会うようになった。
 
彼女は結構、押しが強くてグイグイアピールされて、いつの間にか付き合うようになっていた。
 
俺は一人っ子ということもあって、周りからは頼りないだの、ボーっとしてるだの言われていたから、しっかりものの彼女とは相性が良かったのかもしれない。
 
クリスマスを一緒に過ごし、年明けの初もうではどこに行こうかと話していたら、ふと彼女が、「今年、厄年だよね?」と言ってきた。
 
俺はあまり、厄年とか気にしてなかったから、「そうなんだ?」くらいの感覚だったけど、どうやら彼女はそういうのを気にするタイプらしい。
 
「私も来年は厄年だから一緒にお払いに行こう」と言って、テキパキとお払いの予約をしてくれた。
 
こういうところは本当に頼りになる。
やっぱり、俺には年上が合うのかもしれない。
 
終わり。

解説

厄年は、男性は25歳、女性は33歳、37歳である。
彼女は初めに語り部よりも2歳年上と言っていたが、少なくとも6歳以上のサバをよんでいることになる。

 

少年は昔から、悪運が強かった。
 
その運がいいというのは、決して喜ばしいことではなく、返って怪しまれることもあった。
というのも、少年がいい結果を残すときは、少年よりも上位の人にトラブルがあって、繰り上げで入賞するというものだった。
 
例えば、部活のテニスの大会で、いつも勝てない選手がその日に限って事故に遭い、欠場することで3位になることができた。
 
あるときは、入試試験で落ちてしまったのに、合格者が数人辞退したことで、繰り上げで合格することができた。
 
そういうことが続いて、少年はいつしか、自分が念じた相手には不幸が起きるんだと思い始める。
 
そんな中、少年はどうしても優勝したいテニスの大会があり、猛練習に励んだ。
その甲斐もあり、少年は優勝候補とさえ言われるようになった。
 
そんな大会の前日。
少年は念のため、ライバルになる相手の事故を願った。
 
そして、大会当日。
少年は試合会場に向かい際に、事故に遭った。
 
終わり。

解説

念じると相手に不幸が起きるという力は少年ではなく、他の人物の力によるもの。
今までは偶然、少年の願った通りに相手が事故に巻き込まれていた。
しかし、今回は少年が優勝候補となってしまったため、不幸が起きるという力を使われてしまった。

 

死体置き場

とある国の話。
 
その町では疫病が流行り、人口の3割が亡くなった。
死体は放置するとそこから感染が広がるということで、国が死体置き場を用意し、亡くなった人間はそこに集められる。
 
集められた死体は、流れ作業的に火葬場へと運ばれて火葬されていく。
それはあまりにも膨大な数のため、役所の人間は忙しさに疲弊し、過労で倒れる者まで出てきた。
 
中にはサボりや居眠りをする者も後を絶たなかった。
 
そんな中、ようやく疫病も収まり、町に平穏が訪れた。
国は役所の人間の功労を称え、全員にボーナスを出すことにした。
 
しかし、調べてみると役人の人間が10名以上、失踪していることがわかった。
 
終わり。

解説

実際に失踪した人間もいるが、死体置き場で「居眠り」をして、生きたまま燃やされた人間も存在する。
この頃の役所の人間はみんな疲れきっていて、運ばれても起きないほど熟睡していた人間もいたはずである。

 

おばちゃん

その中年女性は図々しいということで、その町では有名なほどだった。
 
買い物では1人では2つまでという商品でも、駐車場に家族がいるから、その分だと嘘をついて購入したり、友人の家で使ってなさそうなものがあったら、黙って持って帰るなど、周りも迷惑している。
 
横入りなんて、日常茶飯事で、病院でも大げさに騒ぎ立てて、順番を先にしてもらうということも平気でしていた。
 
そんなある日、その中年女性はデパートに買い物に行った。
買い物途中でトイレに行きたくなり、トイレへと向かう。
途中で、男が店員に向って、従業員用のトイレを貸せとまくし立てているのを目撃する。
中年女性は「ああいう迷惑な客はどこにでもいるのよね」と馬鹿にしたように笑った。
 
そして、女子トイレに着くと、列ができる程混雑していた。
 
中年女性は舌打ちをした。
 
それから15分後。
デパートで火災が起こり、デパートの従業員はお客の避難誘導をする。
そして、女子トイレへも向かい、非難を呼びかける。
 
お客の避難が終わるとほぼ同時に、デバートのいたるところから炎が噴き出てくる。
 
そして、その避難場所には、その中年女性の姿はなかった。
 
終わり。

解説

その中年女性は女子トイレが混んでいたので、なんのためらいもなく男子トイレに入った。
そして、男子トイレがあるのに、男が従業員用のトイレを貸せと言っているところから、男子トイレは何かの事情があって使えない状態だった。
だが、中年女性はそんなことも気にせずに男子トイレに入っていたため、従業員が避難の呼びかけにも来なかったので、デパートに取り残されてしまった。
(男子トイレは使用不可のため、従業員もそこに人がいるとは思ってもいなかった)

 

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