■本編
女は猜疑心が強かった。
子供の頃、両親が詐欺師に騙されたこともあり、人を信じることができなかった。
そのせいで、女は孤立し、友人もできない。
女はそれが寂しく、自分の猜疑心の強さを呪った。
人を信じたい。
友達と楽しく過ごしたい。
そう思うのだが、どうしても無意識に人を疑ってしまう。
そんな女の前に、ある男が現れる。
男は元医者だと話、いい薬があると言ってきた。
最初、女はその怪しい言葉に警戒したが、男にそういう心を治したいのではないのかと言われ、騙されたと思い、薬を使った。
すると、その日から女はポジティブな思考になり、友達もできた。
毎日が楽しく、その薬に感謝した。
そして、女はその薬を手放せなくなった。
それから数ヶ月後、女は自宅で亡くなっているのを発見される。
女を知る、周りの人の話を聞くと、女は数ヶ月前から仕事も欠勤するようになり、家に引きこもるようになったのだという。
終わり。
■解説
男に渡された薬は麻薬だった。
女がポジティブになれたのも、友達が出来たのも、毎日が楽しいと感じていたのも全てが麻薬による妄想だった。