■本編
男は戦場ジャーナリストであることに誇りを持っていた。
どんな権力にも負けず、真実を伝えることを信念に戦場を駆けずり回る。
一緒に組んでいるチームのメンバーも男と同様に信念を持っていた。
そんなあるとき、男は取材チームと一緒に、あるテロリストに捕まった。
そのテロリストたちは一度捕まれば終わりで、生きて帰ってきた者はいないと噂されていた。
だが、男はテロリストから解放され、国へと戻ることに成功する。
そして、男は世間に対して、ある記事を出した。
「テロリストを呼ばれているが、彼らは志が高く民衆の意思を代弁する組織だ。また、生きて帰ってきた者がいないという噂も嘘であり、全員解放されている。その証拠が私だ」
その記事を書いたのち、二度と男が戦場に向かうことはなかった。
終わり。
■解説
男以外のチームメンバーは解放されていない。
そうなると、全員が解放されているというのは嘘になる。
つまり、男はテロリストに屈し、自分の信念を曲げて、テロリストに有利になるような記事を書くことを条件に解放された可能性が高い。