■本編
日曜日。
散歩をしていると、路地裏で眼鏡をかけて、杖を持った男が上を向いていた。
不審に思い、私はその男に声をかけた。
すると、男はビクッと体を震わせた。
その反応を見て、私はこの男が良からぬことをしていたと確信し、男が見ていただろう場所を見上げた。
すると、女性が着替えている部屋が見える。
覗きだ。
私は男の腕を掴んで、通報しようとした。
だが、男は慌ててこう言った。
「待ってください。私は盲目なんです。だから見ようと思っても見えないんですよ」
確かに、男はずっと目を閉じているし、杖も視覚障碍者が持っているやつだ。
私は「あまり疑わしいことはしない方がいいですよ」と注意して、男の腕を離した。
男は何度も頭を下げながら、目を閉じたまま、杖で地面を軽く叩きながら歩き去っていった。
終わり。
■解説
目が見えないのであれば眼鏡をかける必要はないはずである。
つまり、男が盲目であるというのは嘘の可能性が高い。