■本編
最近、誰かに見られている感じがする。
そのせいで、怖くて夜も眠れない。
お母さんやお父さんに無理を言って、一人暮らしをしたのに、今は後悔している。
でも、だからと言って帰るわけにはいかない。
私にも意地があるのだ。
そんなある日、大学から帰ってきて、家の鍵を開けようとしたら、鍵が入らない。
え? どうして?
私が焦っていると、ちょうど管理人さんがやってきた。
「これ、あなたの部屋の鍵でしょ? 落とし物で管理室に届いてたの」
私は管理人さんにお礼を言って、鍵を受け取って、部屋に入ることができた。
その日、私はすぐに引っ越しすることにした。
終わり。
■解説
語り部は「鍵が入らない」と言っている。
もし、鍵を落としているのなら、そもそも、鍵を差し込むことができないはず。
つまり、誰かによって鍵が新しい物に付け替えられているということになる。