■本編
3年前、俺は万引きをして、捕まった。
高校受験のための勉強漬けのストレスから、咄嗟にやってしまったのだ。
万引きしたのはガム1個。
値段は100円ほどだ。
俺は初犯だということと、受験が控えてるから学校には連絡しないでくれと頼み込んだ。
けど、あの万引きGメンは店長を説得して、親と学校、警察に連絡しやがった。
そのせいで、俺の受験はパーになった。
恨んでも恨み切れない。
だから、俺はあのGメンに復讐しようと考えた。
ガムとアメとシャーペンを、あいつが見えるようにポケットに入れる。
案の定、あいつは俺をマークし始めた。
あいつに誤認させて、名誉毀損で訴えてやる。
絶対に示談なんかしない。
大ごとにしてやるんだ。
俺はそれから辺りをキョロキョロと見渡した後、お菓子を何個かカゴに入れて、レジへと持って行く。
あいつも俺の後に続いて、レジの方へと向かう。
あいつに見えないようにこっそりとガムとシャーペンをカゴに入れる。
会計を済ませ、俺は用意していた袋に買ったものを入れて、店の外へ出た。
もちろん、あいつも俺の後をついてきた。
そして、あいつは俺に声をかけてくる。
「会計が済んでない商品がありますよね?」
終わり。
■解説
語り部はアメをカゴに入れ忘れている。
なので、万引きは成立する。
そして、3年前に高校受験と言っているので、今年も大学受験か就職が控えているはずである。
3年前同様、語り部は受験や就職に影響する可能性が高い。