■本編
その家は畜産業を営んでいる。
その家に住んでいる家族は8男6女の大家族である。
その三男は弟、妹たちの面倒を見ることで日々、精いっぱいだ。
食事や洗濯、掃除など家事をこなすだけでも、膨大な時間がかかる。
兄妹たちはみんな仲が良く、総出で家事を手伝っているが、それでも大変である。
家は大きいが、部屋の数はそこまで多いわけではなく、ほぼプライベートもない。
そんな三男の夢は、家を出ること。
別にこの家が嫌いというわけではない。
自分が稼いでもっと家族たちに良い思いをしてほしいと考えているのだ。
というのも、その原因の一因に父親がある。
父親は好きな時間に寝て、好きな時間に起きるという生活だ。
しかも、家事も手伝わなければ、仕事もしていない。
三男はそんな父親のことが大嫌いだった。
父親がもう少しまともなら、きっと家族は違った生活を送れたはずである。
だから、自分が稼ぎたいと思っているのだ。
だが、日々、家事をこなすことで必死で、仕事を探すところではない。
そんな中、母親がもう一人、子供を産んだ。
終わり。
■解説
この家は畜産業を営んでいるはずである。
だが、父親はもちろん、子供たちも、何か動物を育てているような描写はない。
では、何が畜産業なのか?
それは、この家族が家畜ということを意味している。
さらに、長男と次男が出て来ない。
2人はもう……。