■本編
夏に長袖を着ている人はタトゥーを隠している。
前に、おじいちゃんから聞いた覚えがある。
そのときは、そうなんだー、くらいに思っていたが、今でも何となく頭に残っていた。
ある真夏の日の夕方。
一人で帰っていると、前からコートを着た男が歩いてきた。
それを見て、私は「タトゥーを隠してるんだ」と思った。
だけど、違った。
その男にはタトゥーなんて全然、入ってなかった。
もう、おじいちゃんの嘘つき。
終わり。
■解説
なぜ、語り部は男にタトゥ-が『入っていない』ことを知っているのか?
それは、男がタトゥーを隠しているのではなく、露出狂の変態だったから。