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千羽鶴

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■本編

男は留学がきっかけで、イギリスの女性とメールのやり取りをするようになった。
 
その女性は男の留学の際の受け入れ先の家庭にいたのだ。
年が近かったこともあり、すぐに2人は仲良くなった。
 
男は女性がいたおかけで留学は楽しかった。
 
だが、留年の期限の半年がすぐに過ぎてしまう。
 
2人はお互いにメールアドレスを交換し、男が帰国してもメールのやり取りをしていた。
 
メールのやり取りをするようになって1年が過ぎた。
 
会えないことで逆に2人の恋心は燃え上がっていく。
だが、女性の方が会えないことに徐々に気を病んでいってしまう。
 
それでも互いに会いに行けることができない。
 
そんなあるとき、女性からのメールがピタリと止まってしまった。
何度、メールを送っても返事が来ない。
 
そこで男は女性の親にコンタクトを取った。
女性の親の話では、女性は鬱になってしまい、部屋に閉じこもってしまったのだという。
 
男は何とか女性を元気付けたかった。
 
どうすればいいかと悩んだ結果、女性になにかプレゼントをしようと考える。
だが、男は金がない。
 
そこで男は千羽鶴を作ることにした。
女性のことを思いながら、1羽1羽、丁寧にしっかりと折っていく。
そして、ついに千羽を折ること成功した。
 
すぐに女性に贈る。
そこには「俺の気持ち」というメッセージを添えた。
 
次の日。
男の元に女性が自殺したという連絡がきた。
 
終わり。

■解説

ヨーロッパでは鶴は『死を呼ぶ鳥』とされている。
それを、うつ病を患っている女性に、1000羽折って、『俺の気持ち』というメッセージがついていれば、男が女性の死を願っているように思ってしまう。

 

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