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男子寮

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■本編

高校は実家から離れた場所にあるため、俺は寮に入ることになった。
 
男子校だから、寮も厳しいだろうなと覚悟していたが、俺は寮長に気に入られたせいか、寮生活は苦にならない。
 
門限や私物の持ち込みなど、本当だったら怒られることでも見逃して貰える。
他の奴らからは少しやっかまれているけど、こればっかりは俺が悪いわけじゃないから開き直っている。
 
ただ、寮長に気に入られていることだけあって、何かとよく誘われる。
飯や自由時間、休みの日なんかも、誘われたりするのだ。
少し面倒くさいとは思うけど、ここで寮長に嫌われたらこの先の寮生活は悲惨なことになるだろう。
 
それに、俺自身、寮長と一緒にいることはそんなに苦にならないし、楽しいことも多いので嫌々付き合っているわけじゃない。
 
そして、その年の年末。
周りの寮生のほとんどは実家に帰るようだ。
 
俺も帰ろうかと思っていたが、寮長が「年末年始は管理人も寮にいないから、自由に過ごせるんだぜ」と言ってきた。
 
普段、寮ではできないこともできるらしい。
たとえば、バーベキューや鍋、夜更かし、寮内でかくれんぼ、探検などなど。
それで、寮長は俺も寮に残らないかと誘ってきたわけである。
 
その話を聞いて確かに楽しそうだったので、俺は年末年始は寮に残ることした。
 
寮に残る寮生は全員で5人。
寮長は他の3人には夜の点呼などもしないから自由に過ごしていいと伝えていた。
 
そして、年末年始。
 
周りはほとんど誰もいないので静かだった。
まさか寮の中でこんなに静かに暮らせるとは思ってもみなかった。
 
寮長も気を利かせてか、ほとんど誘いに来ない。
それもあり、その日、俺はダラダラと過ごしていた。
 
そして夜が来た。
昼間、寝ていたのにまだまだ眠い。
こんなにダラダラ寝られるのは、中学の時に実家にいたとき以来だ。
 
ウトウトとまどろんでいると、ドアがノックされた。
寮長だろうか?
そう思っていると「点呼なんだけど、起きてるか?」という声が聞こえる。
 
やっぱり寮長だ。
 
俺は返事をしようと思ったが、物凄く眠い。
だから寝たふりをすることにした。
 
すると、もう一回ノックされる。
 
それも無視する。
 
しばらく沈黙の後、ギイっとゆっくりドアが開いた。
 
終わり。

■解説

寮長は年末年始は「点呼を取らない」と言っている。
それに、「反応がなかったのにドアを開けて」いる。
そして、語り部は寮長に気に入られている。
寮内にはほとんど人がいない。
この後、語り部は寮長に襲われたのかもしれない。

 

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