■本編
その男は業界でも有名な敏腕のプロデューサーである。
その男がプロデュースしたアイドルは大人気になるのはもちろん、スキャンダルを起こすこともなかった。
逆にプロデューサーから首にされたアイドルは、その後、恋人が発覚したり薬をしていることが発覚したりなど問題を起こすことが多い。
そのことからも、そのプロデューサーの見る目が凄いという噂でもちきりだった。
見る目があるのはもちろんだったが、それ以上に下調べをしっかりするのがプロデューサーのやり方だった。
下調べは徹底的に行う。
成績や運動神経、歌のうまさはもちろんのこと、小さい頃からの習い事や恋愛関係のことも事細かに調べ上げる。
そして、その厳しい審査を潜り抜けた者をスカウトするのだ。
さらにスカウトしてから、最後の下調べを行う。
それは盗聴器などが仕掛けられていないか、というものだ。
プロデューサーは情報が何より大事だということを理解している。
それが漏れることは絶対に許さないのだ。
徹底的に家の中を、業者を使って調べ上げる。
それは既に所属しているアイドルが引っ越しなどをした後も徹底されるのであった。
これがこのプロデューサーのやり方である。
終わり。
■解説
アイドルの不祥事は、どんなに注意していても未然に防ぐのは難しい。
では、なぜ、このプロデューサーはそれができるのだろうか。
それは下調べや引っ越しの際に、盗聴器を仕掛けられているかを調べるのではなく、逆に盗聴器を仕掛けているのである。
そのことで、リアルタイムでアイドルの私生活を関することができ、事前に不祥事を起こしそうなアイドルを首にしているのだ。