■本編
最近、高性能の双眼鏡を購入した。
その双眼鏡は暗視機能も付いていて、暗がりでもバッチリ見える。
そして家はマンションの10階なので、家から色々なところを双眼鏡で見ることができるのだ。
普通だったら薄着の女の子を凝視なんてしたら、問題になりかねない。
でも、自分の家から双眼鏡で、道を歩いている人を凝視しても、誰にもバレない。
そんな感じで自分の家から色々なところを覗くのが趣味になってしまった。
本当にいい買い物をした。
そして、俺はある日、いつも夜の24時に着替えをする女の人を見つけた。
彼女はほとんど、家には寝に帰ってきているだけみたいだ。
だから、カーテンの開け閉めはせずに、ずっと閉めっぱなしなのだろう。
ただ、カーテンは完全に閉まってなく、その隙間から着替えが見える。
電気もつけていないので、まさか見られているとは思っていないのだろう。
いつも無防備に着替えている。
さらに彼女は生活が苦しいのか、部屋の中は荒れているみたいだった。
せっかく美人なのに、なんだか勿体ない。
俺はそんな彼女を覗くのが完全に日課になってしまっていた。
そんなある日のことだった。
なんと着替えている彼女と目が合ってしまったのだ。
慌てて俺は隠れた。
顔を見られただろうか?
俺はドキドキして2、3日は覗くのを止めた。
夜にコンビニに買い物に行った帰りに、なんとその人に会った。
そして、なんとその女の人はジッと俺の方を見てきたのだ。
ヤバい!
まさかバレてたのか?
そう思って硬直していたら、彼女は俺の方に向かって会釈した。
ホッとして俺も会釈する。
どうやら覗きはバレていなかったようだ。
終わり。
■解説
離れた場所から双眼鏡をつかって見ているので、見られているのはおろか顔を見られているわけがない。
なのに、女はなぜ語り部の顔を知っているのか?
もしかすると彼女は普通の人間ではないのかもしれない。