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惨殺死体

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本編

奇妙な事件だった。
 
事件が起こったのは郊外にある小さな一軒家だ。
偶然、家の前を通りかかった人が、窓から中を見ると人間の死体らしきものがあると通報した。
 
到着した警察が調べてみると、家のドアと全ての窓が閉まっていたため、窓を割って中に入った。
家の中には何もなかった。
 
家具や電化製品はもちろん、食料さえも全くなかったのだ。
まるで引っ越した後のように、何も存在していない。
 
見つかったのは白骨化した男のバラバラ死体と愛犬だけである。
 
詳しく捜査しても、家に誰かが入った形跡は見当たらなかった。
つまり、家の中自体が密室になっていたということになる。
 
捜査員は頭を抱えた。
どうやって家の中にいる被害者を殺したのか。
なぜ、死体をバラバラにする必要があったのか。
 
白骨化した死体からは有益な情報を得ることはできなかった。
 
唯一わかったことと言えば、男が何かに怯えて急遽、この部屋に引っ越してきたことだけだった。
 
捜査員はこの事件が迷宮入りするだろうと予感していた。
なので、せめて男の愛犬の里親はちゃんと探してあげようと思ったのだった。
 
終わり。

■解説

家の中は密室で、中には何もなかったことから、男は餓死した可能性が高い。
だが、なぜ男が餓死しているのに愛犬は生きているのか?
家の中にはドックフードもなかったはずだ。
それは愛犬が男の死体を食べた可能性が高い。
男の方は飢餓に苦しんでいたが、最後まで愛犬を食べようとはしなかったのに、犬の方は飼い主を食べてしまった。
そのため、男の死体は白骨化し、バラバラになっていた可能性がある。

 

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