本編
平日の昼間。
いつもなら、昼寝をしている時間なのだが、家の近くで工事しているせいでうるさい。
眠れやしない。
仕方ないので、近くにある公園のベンチで昼寝をすることにした。
前は賑わっていたのだが、遊技で遊んでいた子供の死亡事故があってから、公園で遊ぶ子供はほとんどいなくなった。
今ではゲートボールをする老人さえもいない。
ここなら夕方までゆっくり寝られそうだ。
俺はすぐにベンチに横になり、昼寝を始めた。
すると。
バッタン! バッタン! バッタン!
うるさい音がして、見てみると子供が2人シーソーで遊んでいた。
シーソーが地面に当たったときの音が響いていたのだ。
あー、もう!
俺はイライラして文句を言おうとしたとき、その子の母親らしき女がやってきた。
「たっくん、帰るわよ」
「はーい」
小さい方の子供がシーソーを降りて、女の方へ走っていった。
残された方の子供は悲しそうな顔をして、シーソーから飛び降りてどこかに行ってしまった。
よし、これで静かになった。
昼寝の続きだ。
終わり。
■解説
小さい方の子供がシーソーから降りれば、逆側に傾くはずである。
だが、残された方の子供は『飛び降りて』いる。
つまり、小さい方の子供が降りても、シーソーは傾いていないということである。
残された方の子供に重さがないことがわかる。
それはつまり……。