本編
彼女は人造人間、つまりはホムンクルスだった。
彼女を作り出したのは高名な画家であった。
その画家が愛した女性が病によって亡くなったことをきっかけに、錬金術の研究に没頭し、そして、彼女を作り上げることに成功する。
彼女は画家が愛した女性の遺体を使って作られた。
しかし、その体は次第に体が腐っていく。
画家は腐った部分の体を新鮮なものと入れ替えるため、若い女を殺していた。
次第に彼女の体は継ぎ接ぎだらけとなっていく。
もはや、彼女には画家が愛した女性の原型など残っていない。
それでも画家は彼女を愛していた。
見た目など関係なく、彼女を心から愛している。
しかし、彼女の方は不安で心を病んでいく。
継ぎ接ぎだらけの自分はいつか、画家に捨てられるのではないかと。
画家と比べて、自分は醜くなっていくことに恐怖し続けていた。
だから、彼女は願った。
画家と同じような姿になれるように。
そんなある日。
彼女の願いは叶った。
終わり。
■解説
ホムンクルスの彼女は、画家と同じような姿になることを願っていた。
しかし、普通の人間のように継ぎ接ぎを消せる可能性は低い。
なぜなら、画家が長年研究しても、成し遂げられなかったのだから。
では、どのように彼女と画家が同じような姿になったのか。
それは画家が継ぎ接ぎだらけの体になったということである。
彼女は画家を殺し、自分と同じような体に作り上げた可能性が高い。