サイトアイコン 意味が分かると怖い話【解説付き】

アパートの部屋

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本編

105号室。
俺が今、住んでる部屋の番号だ。
アパートは結構古いけど、家賃も安いし、近くに駅とコンビニもあって気に入っている。
 
他の住人との人間関係も良好、というか挨拶する程度であまり関わらないようにしているのだ。
そのおかげか、あんまり変なことは起きたことがない。
 
ただ、一人だけ同じ住人で、見かければ話しかけるようにしている人がいる。
大学生らしく、笑顔が素敵な女の子だ。
 
普段、女っ気のない俺にとっては日々の唯一の癒しと言ってもいい。
どの部屋に住んでるのか気にはなっているけど、変に調べようとして嫌われたら元も子もない。
なので、話しかけて地道に仲良くなるという方法を取っているのだ。
昨日も仕事帰りにちょうど会って、30分くらい話をした。
結構、良い雰囲気だと思う。
このちょうしなら、今度、どこかに出かけようと誘えるかもしれない。
 
そして、その週の日曜日。
 
部屋の中でゴロゴロとしていると、アパートの前にパトカーと救急車が数台やってきた。
なんだろうと思い、外に出てみる。
すると、警察やら救急隊員やらが2階の部屋へと入って行っていった。
 
俺の部屋の丁度真上だ。
 
何があったんだろうと思い、隙を見て警察官に話しかけてみた。
 
「何があったんですか?」
「あー、自殺だよ。首吊り。大分、腐乱が進んでね。臭いとかしなかった?」
「いえ、とくには……」
 
うわー。嫌なことを聞いた。
ということは俺の部屋の上が事故物件になるってことか。
なんか嫌だなぁ。
 
そこで、ダメ元で大家さんに部屋を変えてもらえないかと交渉したら、出て行かれるよりは、と言って変えてくれた。
 
今度は101号室だ。
 
同じアパート内なので、自分で少しずつ物を移動させていく。
そして、3日ほどで引っ越しが完了した。
 
そんなとき、突然、インターフォンが鳴った。
出てみると、あの女の子だった。
 
「引っ越すことにしたんです。……ああいうことがあったので」
「……あー、そうなんだ」
 
俺は物凄くがっかりした。
 
そして、女の子は箱詰めのお菓子をくれた。
どうやら、引っ越しするので近隣の住人に配って回っているみたいだ。
 
寂しいと思いながらも、お菓子を受け取り、女の子を見送った。
部屋の中でお菓子を包んでいる紙を見る。
 
205号室 田宮 麻沙美
 
そう書いてあった。
 
今更、部屋と名前を知ってもなぁ。
 
終わり。

■解説

自殺があったのは、語り部の部屋である105号室の真上である。
つまり205号室だ。
なのに、田宮と名乗る女性が205号室なのはおかしい。
一体、この女性は何者なんだろうか。

 

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