本編
私は猫を3匹飼っている。
真っ黒い猫のリンゴと三毛猫のミカンと、白と黒のブチ猫のナシの3匹だ。
3匹とも可愛いし、私も特別に1匹だけ可愛がっているとか、そういうのはない。
みんな平等に可愛がっているつもりだ。
人間でもそうだけど、やっぱり猫の仲でも相性がいい、悪いがある。
リンゴとミカンが、物凄い仲が悪いのだ。
というより、ミカンがリンゴを嫌っているという感じかな。
猫って、お互い舐め合ったりするんだけど、リンゴとミカンは絶対に舐め合いをしない。
リンゴがミカンを舐めようとすると喧嘩しはじめるのだ。
別にミカンが舐められるのが嫌っていうわけではなさそうだ。
よくナシには舐めて貰ってるし、逆に舐めてあげたりしている。
でも、リンゴにだけは絶対に舐めさせない。
リンゴの方も止せばいいのに、やたらとミカンを舐めようとする。
そして、喧嘩になるのだ。
夜、寝てたら喧嘩したリンゴとミカンが暴れて、私の顔を踏んで行ったり、喧嘩に巻き込まれて引っかかれたりした。
本当に、やめて欲しい。
夜も怖くて熟睡できない。
まあみんな可愛いから、そんな些細なことはどうでもよくなっちゃうんだけど。
でも、最近、ミカンの元気がない。
食欲もなくなったし、寝てばかりいる。
というより、ほとんど起きない。
起きるとしたら、リンゴと喧嘩するときくらいだ。
心配になって病院に連れて行ったら、なんと腎臓病だと診断された。
猫には避けられない病気らしい。
私は餌を腎臓病用のものに変えた。
治ることはないけれど、少しでも長生きして欲しい。
そんなある日のこと。
夜に仕事からヘトヘトになって帰って来る。
少し座って休んでから、みんなのご飯を用意しようと立ち上がった。
すると珍しい光景を目にした。
なんとリンゴがミカンを舐めているのだ。
一生懸命、舐めている姿を見て、私はほっこりした。
いつの間にか仲直りしたのだろうか。
私は嬉しくなって、いつもの2倍のご飯を用意した。
終わり。
■解説
ミカンは喧嘩ができないほど弱ってしまったか、もしかすると亡くなっているかもしれない。