サイトアイコン 意味が分かると怖い話【解説付き】

パスワード

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本編

俺の彼女はパソコンのパスワードを好きな人の誕生日にする癖がある。
だから、今、彼女が使っているパソコンは俺の誕生日である「2006123」になっている。
 
本人はそのことを俺に知られていないと思っているようで、俺ももちろん知っていることは黙っている。
別に彼女のパソコンの中身を覗き見ようなんて思っていない。
俺の誕生日が設定されていることに安心するのだ。
 
彼女と付き合って2年。
俺は本当に彼女が好きだ。
もちろん、結婚したいと思っている。
 
結婚のために勉強も頑張って、ちゃんと就職をして、なんて将来の設計までちゃんと考えているのだ。
それとなく、彼女に聞いてみるが、彼女も同じ気持ちだと言ってくれた。
だから、俺は彼女のパソコンのパスワードはもう変わることはないと思っていた。
 
だが、そんなある日。
なんとなく彼女がよそよそしい気がした。
 
気のせいだと思い込もうとしたが、デートに誘っても用事があると断られるし、一緒に帰ろうとしても、友達と帰るからと言われてしまう。
 
本当はこんなことはしたくなかったが、俺は彼女を隠れて観察することにした。
すると、彼女は後輩のSと仲良さそうにいつも話している。
なんと俺の誘いを断って、Sと帰ってるくらいだ。
 
目の前が真っ暗になった。
結婚するのは彼女しかいないと思っていたからだ。
あんなSみたいな奴に取られるなんて許せない。
 
俺は彼女にSが好きなのかと問いただした。
だけど、彼女は「Sは単なる後輩」と言うだけだった。
 
そこで俺は嫌がられたが、強引に彼女の家に遊びに行った。
そして、彼女が部屋を出た瞬間に、パソコンのパスワードを入力する。
Sの誕生日は俺と全然違う、12月であることはすでに調べてある。
もし、Sの誕生日に変えているなら、ログインできないはずだ。
 
だが、彼女のパソコンにログインができた。
 
よかった。
俺の思い過ごしだったようだ。
 
俺は改めて、彼女のパソコンのパスワードは今後も変わらない、変わらせないと決意した。
 
終わり。

■解説

彼女のパソコンのパスワードは「2006123」である。
ここから、語り部の誕生日は2006年1月23日と推測できる。
しかし、「後輩」の誕生日が2006年12月3日の場合、同じ「2006123」となる。
また、同じ2006年生まれでも、4月で学年が分けられるため、「後輩」になる。
もしかすると彼女はとっくに、語り部への愛は冷めているのかもしれない。

 

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