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【洒落怖】鏡

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■本編

大学の頃、仲が良かった友達のことをふと思い出して、連絡してみた。

そしたら、その友達は今、怪我をして入院してるって言われて、ビックリした。

週末に、その子のお見舞いに行ったんだけど、そこでもっと驚く話を聞かされた。

 

これはその友達から聞いた話。

 

友達のおじいちゃんが病気で亡くなってしまい、色々と整理することになった。

友達のおじいちゃんは地主で、結構、お金持ちだったらしい。

 

おじいちゃんの家は結構、大きくて遺品を整理するのも大変だったとのことだ。

で、おじちゃんの家の奥に、ドアが開かないように木で打ち付けられた部屋があった。

 

何か良くないものがあるのだろうって、容易に想像できたらしいけど、それでも開けないわけにはいかなかった。

だから、親戚たちが集まって、ドアを叩き割って、その部屋の中に入ったらしい。

 

だけど、部屋の中はいたって普通で、っていうより鏡しか置いてなかった。

よく、洗面所にあるような大きな鏡。

 

なんだろうって親戚の人たちが鏡を調べていると、その中の一人が悲鳴を上げた。

鏡に映った姿の自分には左腕がなかったそうだ。

驚いて、他の人が鏡を見ると、その人は全身に傷が付いた状態で写っていた。

 

誰が見ても、どこかに傷がある状態で写ったらしい。

友達も、もちろん、その鏡を見たらしい。

そしたら、顔中が傷だらけになっていたそうだ。

 

不気味な鏡だとなり、親戚の人たちはいったん、鏡をそのままにしておいた。

 

数日後、おじいちゃんの遺書らしきものが見つかり、そこにはあの鏡のことが書いてあった。

その鏡は呪われていて、その鏡に姿を写した者はどこかに傷が出来た状態で写り、そして、その後、鏡に写った状態と同じになってしまうのだという。

 

親戚の人たちは怖がりながらも、そんなわけがないと高をくくってたらしい。

 

だけど、その1週間後、その家族を乗せた車が事故に遭い、ある人は左手を失い、ある人は全身に傷を負った。

つまり、あの日、鏡に映った姿と同じになったのだという。

 

次々に周りが事故や事件に遭い、鏡と同じ姿になっていく状況に、友達は恐怖で部屋に閉じこもってしまった。

それでも安心して眠れず、いつも何か起きないか警戒する生活が続いた。

 

そんなある日。

友達は耐え切れなくなって、包丁で顔を切った。

何度も。

 

そう。

友達は自分で鏡に映った自分の姿と同じにしたというわけだ。

 

友達は病室で、これでもう鏡の呪いに悩まされることなくなったと、ニコリと笑いながら言った。

 

私はその話を聞いて、無性に腹が立った。

そんな鏡をどうして友達のおじいちゃんは残していたのか。

 

きっと友達の顔は元には戻らない。

傷が残ってしまう。

 

私は友達からおじいちゃんの家の場所を聞き、行ってみた。

家の中は片付けられていて物が何もなかったが、鏡の置いてある部屋はそのままの状態になっていた。

 

私は頭に血が上っていたせいか、つい鏡を見てしまった。

だが、鏡に映っていた私にはどこも傷なんてない。

 

なんだ、呪いなんて結局、嘘じゃん。

 

そして、私は手に持っていたハンマーで鏡を叩き割った。

 

床に砕け散った鏡の破片は、私の姿を映していた。

 

終わり。

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