■本編
ライザとミルザは双子の姉妹で、とても仲が良く、いつも一緒にいる。
ある日、2人が家で留守番をしていると強盗が家にやってきた。
二人はすぐに隠れるが、見つかってしまい、ライザは刺されて死んでしまう。
さらに強盗はミルザを刺そうとしたところで、親が帰ってきたため、強盗は逃げてしまう。
両親はミルザに犯人の特徴を聞こうとしたが、ミルザはあまりのショックのため、口が聞けない状態になってしまった。
その事件とミルザのことは、すぐに新聞に載り、強盗もそれを見ることになる。
強盗はミルザがショックから立ち直る前に始末しなければならないと考え、遠くから家を観察し始めた。
そんな状況を、魂となったライザが見ている。
早く何とかしないと、今度はミルザも殺されてしまう。
しかし、魂だけになってしまった自分には、どうしようもないと絶望してしまう。
そんなライザの前に天使がやってきて、こう言った。
「あなたを一度だけ、ミルザの体に入れることができます。ミルザの体に入れば、あなたが両親に強盗のことを話すことができますよ」
天使の話によると、これは誰にでもできることではなく、双子で魂の色が似ているから可能なのだという。
もちろん、ライザは天使にお願いをした。
ミルザの体に入ったライザは、両親に強盗の特徴を告げる。
その情報により、強盗はすぐに警察に捕まったのだった。
無事に自分の仇とミルザを守ることができた。
ライザは強い満足感に浸る。
そんなとき、再び天使がやってきた。
「さあ、天国に旅立ちましょう。体から出てきてください」
すると、体から1つの魂が出てくる。
「怖がることはありませんよ。行きましょう」
「……」
死は誰でも怖いもの。
幼ければその気持ちが強くなるのは当然のこと。
天使は沈黙する魂を連れて、天国へと旅立った。
その様子を見て、ライザはにっこりとほほ笑んだ。
終わり。
■解説
天使が天国に連れて行ったのは「ミルザ」。
魂の色が似ているために、それに気付かなかった。
魂が沈黙しているのも、「事件のショックで口が聞けなくなっているミルザ」だということがわかる。
ミルザがショックを受けて話せないこと、魂の色が似ていることを知ったライザの策略によるものである。